2022.04.05 Tuesday
真宗のことば61
人間は死を抱いて生まれ、死をかかえて成長する
『信國淳選集』第六巻「第一部浄土」柏樹社
私たちは「生まれたものは死に往くもの」とは誰もが知っています。しかし、身近な人の死を前にすると、自分が知っている死は知識でしかなかったと知らされてくるところに死というもの本当の役割があります。
どうやら人間は経験するということでしか、本当の意味で知ることはできない生き物のようなのです。
私はこの歳になって初めて老眼ということを経験しました。それまでは見えるということが当たり前のことだったせいで、見えないことがこんなに不自由だとは今まで理解できていなかったことを老眼に知らされました。
それと同じように、大切な人の死を目の当たりにしたとき、その人との別れの涙に本当の人間になる喜びをいただくのでしょう。